「すみません、パソコンが壊れたみたいで」
月曜の朝、この一言から一日が始まる。席まで行って再起動すると、何事もなかったように動き出す。お礼を言われ、自席に戻る途中でまた呼ばれる。
情シスをやっていると、聞くセリフはだいたい決まってくる。数えてみたら30個くらいあった。せっかくなので並べてみる。
毎日聞く「あのセリフ」30選
トラブル編
- 「パソコンが壊れました」(再起動で直る)
- 「ネットが遅いんですけど」
- 「何もしてないのに動かなくなった」
- 「エラーが出たけど、閉じちゃいました」
- 「プリンターが印刷しないです」(別のプリンターに送っている)
- 「Wi-Fiにつながらない」(機内モード)
- 「画面が真っ暗です」(モニターの電源)
- 「Excelが固まった」(ファイルが30MBある)
- 「メールが届かない」(迷惑メールフォルダにいる)
- 「昨日まで使えてたのに」
アカウント編
- 「パスワード忘れました」
- 「パスワードの変更を求められたので、前のに戻したい」
- 「ロックがかかりました」(入力5回目)
- 「スマホを機種変したら認証できない」
- 「共有フォルダが見えません」
- 「退職した人のファイルってどこですか」
- 「新しい人が明日から来ます」(明日)
- 「IDって何でしたっけ」
- 「Teamsに入れないです」
- 「このメール、開いて大丈夫ですか」(もう開いた)
なんでも屋編
- 「これ、情シスさんの担当ですよね」
- 「会議室のテレビが映りません」
- 「複合機の契約っていつまでですか」
- 「家のパソコンも見てもらえますか」
- 「Excelでできるでしょ」
- 「ちょっとだけいいですか」(ちょっとで終わらない)
- 「急ぎじゃないんですけど」(急ぎ)
- 「前の人はやってくれました」
- 「詳しい人に聞けって言われて」
- 「ITのことはよく分からないので」
書いていて、少し胃が痛くなった。
なぜ同じ問い合わせが繰り返されるのか
聞いてくる人が悪いわけではない。たぶん、調べる場所がないのだ。
社内のどこを見れば答えがあるのか分からない。だから一番手っ取り早い「情シスの人」に聞く。聞けば答えてくれるので、次も聞く。こちらも答えるたびに、同じ説明だけ上手くなっていく。
ひとり情シスだと、これがそのまま一日の時間を削っていく。対策は気合いではなく、仕組みのほうに置くしかないと思う。
現場でやっている工夫
1. よくある質問は、答えを1か所に置く
問い合わせを1週間メモしてみると、上位の10個くらいで大半が埋まっていたりする。その10個だけ、社内ポータルやチャットの固定メッセージに答えを書いておく。
最初から立派なFAQを作らなくていい。「再起動しましたか」を一番上に書くだけでも、呼ばれる回数は少し減る。
2. パスワードは、本人に戻してもらう
パスワード忘れとロック解除は、件数のわりに中身がほとんど同じ作業だ。Microsoft 365 ならセルフサービスのパスワードリセットを有効にでき、Google Workspace にも利用者が自分で復旧できる設定がある。
最初に復旧用の連絡先を登録してもらう手間はかかる。ただ、一度回り始めると、朝イチの「ロックがかかりました」がかなり静かになる。
3. 返信はテンプレートにしておく
「プリンターの確認手順」「新しい人のアカウント申請」など、毎回同じことを書いている返信は、テンプレートとして保存しておく。辞書登録でもメールの定型文でも何でもいい。
ついでに、新入社員のアカウント申請は「何日前までに」と期限をテンプレートに入れておく。明日来る人の話を、今日聞かないために。
まとめ
情シスあるあるは、笑い話であると同時に、仕組みが足りていない場所の目印でもある。同じセリフを3回聞いたら、そこが手を入れどころなのだと思う。
偉そうに並べたが、自分のFAQもまだ半分くらいしか書けていない。まずは今週の問い合わせを、メモに残すところから始めてみます。